地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ

ブーッ……ブーッ……


「っ…!?」


静かな部屋に響く携帯の着信ブザー……。

思わず、ビクッと肩が上がった。


着信:滝本陸


ディスプレイの名前を見て、涙が出そうになる。

今…1番、声が聞きたかった人…。

手形を見つけてから、徐々に体が震え出してた。


「はい…陸……?」

《杏?起こしたか?》


いつもと変わらない声。

ホッと安堵して……バレないように息を吐く。


「ううん…起きてたよ。おはよ」

《はよ……なら良いんだ》

「朝から電話なんて…珍しいね」

《あ─…声聞きたかったからな》


“あたしも、聞きたかったよ”

そうやって陸には、言えない。


「……あ、会議だから緊張してるんだ?社長さんは」

本心とは、違うことを言ってしまう。