妖気は感じない…。

感じるのは────…



「吉川…!」


会長が、再度、あたしの腕を引っ張った。


「会長、待って…」


あたしの言葉と重なるように──


『お兄ちゃん…邪魔しないで!!』


女の子が叫び…キッと会長を睨んだ。


『……遊んでくれないなら……』

「えっ…!?」


女の子の口元がニヤッと釣り上がる。



ヤバイ………!


本能的に悟った。



『……お兄ちゃん……死んで…』


シュッ…!!


「うわっ……」


女の子の手に、何かが握られ…
会長に向けて突き出された。


「禁っ!」


とっさに、会長の体を突き飛ばして…会長の前に出る。

不視可の壁を築こうとしたが、間に合わず…あたしの左腕を鋭利な刃物が切り裂いた。