胸の前にまわされた陸の腕に、自分の手を絡めた。


「パーティーなんかに、よく来たな?」

「う〜ん…確かに。でも、会長のお母さんから招待されたからね…断れないよ」

「会長ね……さっきアイツ、女に囲まれてイラついてたぞ?」

「別に大丈夫でしょ。あたし会長苦手だし、会長もあたしのこと嫌いだから、ちょうど良いよ」

「……あれだけアプローチされて、気づいてねぇんだ」

「ん?」

「いや…何でもない」

「そう?」


フッと笑う陸に背中を預けて、ぼーっと滝を眺める。

片手を胸の下にまわすと、空いた手で、あたしの髪を弄り始めた。


「この着物…誰のセレクト?」

「ん〜…着付けてくれたおばさま達が選んでくれたよ」

「おばさま達って、あの春休みのか?」

「うん、あたしのことも覚えてくれてた。陸によろしくだって」