呪文を唱えて、会長に姿が見えないようにし、熱い視線を向ける女の子達に近づいた。


「すみません。高瀬さんが、皆さんとお話してみたいと言ってますよ?」


案の定…笑顔になる彼女達。


「あたし、高瀬さんとは、一切関係ないんで。高瀬さんの彼女とかじゃ絶対ありませんから」


ニッコリと満面の笑顔で、会長との関係を全否定し…会場を抜け出す。

「黙ったままじゃヤバイかな?」と思い、零ちゃんに一言メールを送った。


パーティー会場のフロアを歩き、エレベーターに乗って、ホテルのロビーに下りる。


案内に沿って通路を抜け…ホテルの庭に出た。


ライトアップされ、手入れされた日本庭園を歩く。


「………やっと外に出られた…」


星空を見上げながら、背伸びをした。