状態の把握は出来たので、ひかるさんの病室をあとにする。


「陸……お待たせ」


談話室に行き、待っていてくれた陸を探した。


「あぁ…終わったのか?」

「うん…帰ろう?」


中に入り、陸の傍へ行く。

隣には、高校生くらいの男の子がいて、あたしが近づくと、彼は顔を上げた。


「ひかるのところへ…?」

「あ…はい……」


この目の前にいるのが、彼氏の慧君なんだと陸が耳元で教えてくれる。


「ひかる……元に戻りますか?」

「え……」

「また毎日…笑い合えますか?」

「「…………」」


胸が裂けそうで…言葉が出ない。

この様子なら……陸も話を聞いたんだろうな…。



「ひか…るを元に…戻して下さい…っ…」



それは………

愛する人に存在を消された者の

悲痛な訴えだった。