溜まっていた水が、ポロポロと頬を伝い出す。


「あーぁ…また泣いて…」

「………っふぇ……」

「ほら…おいで?」


泣く杏に両手を広げて、腕の中に閉じ込めた。


「……いつでも来て良いって言ってんだろ?杏は俺の女なんだから」

「………ふ……ん…」

「“ふん”って返事かよ」


コクリと頷く杏の頭を撫でる。

長い髪が、窓から入って来た風に煽られた。



「お昼寝したい……」

「はいはい…」


泣くとすぐに眠たくなる杏チャン。

ガキ………だな。


抱きしめたまま…ベッドに横になる。



「……俺としては、別の意味で…“寝たい”んだけどな」

「ん?」

「俺は“寝たい”ってこと」

「え?そっちじゃないの??」


「は……!?」