「何。杏は、休日までも俺を働かせたいのか?」

「ち…がう……」

「…大丈夫だ。会社には行かねぇから」


握られた指とは反対の手で、優しく微笑みながら、もう一度頭を撫でた。

すると安堵したのか、嬉しそうに笑う。



「そっか……あたし邪魔じゃなかった?」

「はァ?」

「突然来て……ごめんなさい」

「………」

「……顔見たくなっちゃったから…我慢しなきゃいけないのに…」


大きな目に水が浮かぶ。

睫毛が揺れ……伏せ目になった。




「…………っクク……」

「…へっ?陸…?」

「バッカじゃねぇの?」

「はい!?」


ぱちくりと伏せていた目が開く。


「俺が…自分の女が会いに来て、邪魔物扱いするような男に見えんのか?」

「………ッ……」


“ちがう”とでも言うように、ブルブルと首を横に振った。