――杏樹Side――


公園から出て行った二人組を見送ると、周りに誰もいないか確認した。



「大丈夫だね」


フッと息をつくと、自分の出す雰囲気を穏やかなものから鋭いものへ変える。



「―――出てきなさい」


男の子を抱き上げたまま周りを見渡した。

男の子は相変わらずあたしの胸を揉んでいる。


“おっぱい星人か…?”

陸みたいになりそうだね。




『杏ちゃん……ごめんなさい』


しばらくして…一匹の雑鬼が草の茂みから出てきた。

雑鬼の大きさは、男の子と変わらない。



『ごめんなさいっ……わざとじゃないんだ!僕がボーッとしてて……』

「それでこの子とぶつかったってわけ?」



コクンと雑鬼は頷いた。