完全に先生の姿が見えなくなった頃、夢から覚める感覚に襲われる。 今まで感じていなかった寒さに身体が震え出す。 「寒っ」 急いでブーツを脱ぎ、部屋の暖房を付ける。 なかなか暖まらない事に痺れを切らし、お風呂に入る事にした。 温かなお湯は、力みの入った肩を解(ほぐ)していく。 今日の出来事が水に流れていってしまわない様、必死に思い返した。 先生の言葉。 先生の表情。 先生の仕草。 先生の香り。 先生の温もり。 その全てを覚えておきたかった。 その全てを忘れたくなかった。