同じ空間に居るだけで、胃がキリキリと痛み出す。

急いでトイレに逃げ込んだ途端。

「……うぇッ…」



胃の中の物を全て出し切っても、まだムカムカとしている。



「…おぇ…ッ…ゲホッ」


吐き出す物は何もないのに、何かを吐き出そうとする。


空嘔吐。

それがまた辛かった。




トイレから出ると、あの女はまた煙草を吹かしソファーにゆったりと座っていた。


私の心配なんてしない人。



「また吐いたの?あんた何なの?私に文句あるなら言えばいいじゃない!」

「……」

「またシカト?本当に気に障る子ね!気分悪い。帰る」

そう言い放った女は、灰皿を投げ付けた。



それは私の顔を掠め、後方の壁に当たり砕け散った。