13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


ガサッ…

力が抜けて、手からレジ袋が滑り落ちた。

街灯が点々としかなく、暗い夜道。
私は近所のコンビニに、買い物に行った帰りだった。

「-…」

ただ呆然と立ち尽くす私の目に映るもの。

それは…

翔と…津田先輩の姿。

二人して地面に座り込んで、翔は津田先輩を抱きしめている。

私の方向からは、翔の顔しか確認出来ない。だけど、抱きしめられているワンピースの女の子は、間違いなく津田先輩だと思った。


結構近い距離にいるのに、物音を立ててしまったのに、こっちに気付く気配は一向にない。

…二人の世界、か。


私は落としたレジ袋を拾い上げて、今通ったばかりの道を引き返す。

二人が付き合う事は覚悟出来てた。

でも…見たくなかった。

歩くスピードはどんどん速くなって、いつの間にか駆け足になる。

翔が津田先輩を抱きしめている姿なんて…

見たくなかった!!


…ドンッ!

「わっ!」
「きゃっ!」

前も見ずに走っていたせいで、私は誰かにぶつかって、尻餅を着く形で倒れた。