13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


あー…もう。やられた。

そんな顔見せられたら、諦めらんないじゃん。

参ったとばかりにため息を付いた後、俺は勢いよく立ち上がった。

「苺先輩っ、帰るよ!」
「え?」
「家まで送るからっ!」

赤くなっている顔を見られたくない焦りから、少し乱暴に手を差し出す。

「う、うんっ」

俺の手に苺先輩の手が触れる。

柔らかくて小さな苺先輩の手。

もう、望んだカタチでは触れられないんだと思うと…胸がチクリと痛んだ。

そして、苺先輩が立ち上がると、手は自然に離される…。


「じゃあ…」

ヒュー……バンッ!!

「「!?」」

突然聞こえたとても大きな音と…

急に明るくなった空。


俺達は驚いて、音がした空を見上げると、

「わぁー…」

色鮮やかな花が、夜空に咲いては散っていた…。


「綺麗だね…翔くん」
「うん」

花火よりも、苺先輩の嬉しそうな横顔を見ながら頷いて、

『じゃあ、帰ろうか』さっき言おうとした言葉を飲み込んだ。


もう少し…もう少しだけ一瞬に居てもいいと、神様が言ってくれてる気がして-…。