あー…もう。やられた。
そんな顔見せられたら、諦めらんないじゃん。
参ったとばかりにため息を付いた後、俺は勢いよく立ち上がった。
「苺先輩っ、帰るよ!」
「え?」
「家まで送るからっ!」
赤くなっている顔を見られたくない焦りから、少し乱暴に手を差し出す。
「う、うんっ」
俺の手に苺先輩の手が触れる。
柔らかくて小さな苺先輩の手。
もう、望んだカタチでは触れられないんだと思うと…胸がチクリと痛んだ。
そして、苺先輩が立ち上がると、手は自然に離される…。
「じゃあ…」
ヒュー……バンッ!!
「「!?」」
突然聞こえたとても大きな音と…
急に明るくなった空。
。
俺達は驚いて、音がした空を見上げると、
「わぁー…」
色鮮やかな花が、夜空に咲いては散っていた…。
「綺麗だね…翔くん」
「うん」
花火よりも、苺先輩の嬉しそうな横顔を見ながら頷いて、
『じゃあ、帰ろうか』さっき言おうとした言葉を飲み込んだ。
もう少し…もう少しだけ一瞬に居てもいいと、神様が言ってくれてる気がして-…。



