「苺先輩!…っ先輩っ!」
「きゃっ…」
走る苺先輩の腕を掴んで止めようとすると、その反動で苺先輩は倒れそうになって、咄嗟に抱きしめるような形で支える。
夏祭り会場の神社から出て、少しした所でやっと苺先輩に追いついた。
「っ…ふっ…」
苺先輩はふらっとしながら体を離すと、そのまま力なくしゃがみ込んだ。
「先輩…」
目からは大粒の涙。
苺先輩の気持ちは知っていたけど、正直ここまでとは思っていなかった。
「っく…ふぇ…っ」
声を必死に殺しながらも、止まらないとばかりに泣く苺先輩の姿に、胸がズキズキと痛む。
好きな人が他の人を想って号泣している。
それは…痛くて、苦しくて、しょうがない。
「苺…先輩…」
自分も泣きそうになりながら、そっと座り込んで、苺先輩に目線を合わせる。
「っ…ごめん…ねっ…」
涙を流し続けながら、声を絞り出して謝る苺先輩を見て、俺は抱きしめずにはいられなかった。
「いいよ」
胸に感じる苺先輩の温もり。
今日は“熱帯夜”と呼ばれるほど暑い夜なのに、ちっとも嫌だと思わない。
むしろ、離したくないと思う。
ずっと…ずっとこうしていたい。



