西藤…先輩…。
その外見の良さから、人混みの中でも悔しいくらいに目立っていた。でも、いつもより更に目を引くのは…
隣に居る女の人のせい。
上げられた長い髪と紺色の浴衣が、大人びた美しさを持つ彼女を、より色っぽくさせている。
藤堂先輩…だったっけ。
ため息が出そうなほど綺麗な先輩は、西藤先輩の彼女。
そんな藤堂先輩の手に握られた、赤くてキラキラしたものが目に入った。
…イチゴ飴。
あぁ…そっか。
イチゴ飴を見てから、様子がおかしかった先輩。
何があったのかなんて、見当もつかない。
だけど、一つだけ確かな事がある。
苺先輩は二人の姿を見て、逃げ出したんだ。
苺先輩はまだ西藤先輩の事-…。
自覚すると、もう全てがどうでも良い気がして、体の力が抜ける。
人混みの中に消えてゆく苺先輩の姿。
俺がどんなに追ったって、振り向いてくれない。
どんなに想ったって、この恋はきっと報われない。
今、追い掛けたら…
この恋は確実に終わる。
でも…
「苺先輩っ!」
追わずにはいられなかった。



