13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


西藤…先輩…。

その外見の良さから、人混みの中でも悔しいくらいに目立っていた。でも、いつもより更に目を引くのは…

隣に居る女の人のせい。

上げられた長い髪と紺色の浴衣が、大人びた美しさを持つ彼女を、より色っぽくさせている。

藤堂先輩…だったっけ。

ため息が出そうなほど綺麗な先輩は、西藤先輩の彼女。

そんな藤堂先輩の手に握られた、赤くてキラキラしたものが目に入った。

…イチゴ飴。


あぁ…そっか。

イチゴ飴を見てから、様子がおかしかった先輩。
何があったのかなんて、見当もつかない。

だけど、一つだけ確かな事がある。

苺先輩は二人の姿を見て、逃げ出したんだ。

苺先輩はまだ西藤先輩の事-…。


自覚すると、もう全てがどうでも良い気がして、体の力が抜ける。

人混みの中に消えてゆく苺先輩の姿。

俺がどんなに追ったって、振り向いてくれない。

どんなに想ったって、この恋はきっと報われない。

今、追い掛けたら…

この恋は確実に終わる。


でも…


「苺先輩っ!」


追わずにはいられなかった。