13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


行動が早いのか遅いのか、本当に分からない。

だけど、部活をするなら一つの部しか頭になかった。
都だってそれを分かっているから、「何部?」とは聞いて来ないのだろう。

ただ、なかなか入部しなかったのは…


「岡田も一緒?」

都の発した、翔の苗字にドキッとする。
甘い胸の高鳴りの“ドキッ”じゃなくて、ズキンと胸が痛む方に近い“ドキッ”。

何も知らない都は、冷やかすようにニヤニヤと笑っている。

「…翔は部活しないんだって」

それでも、これは予想していた質問で、今日はこの事を伝えに来たと言ってもおかしくない。

「え?何で?」

私の答えに、都は一瞬にして表情を曇らせる。

「恋に目覚めたらしいよ」
「はっ!?」

よほど予想外だったのだろう。都の手からは、ハンバーガーがするりと滑り落ちた。

「都、ハンバー…」
「何それ!聞いてないっ!どういう事よ!!」

ハンバーガーの事を指摘しようとしたけど、さっきよりもはるかに乗り出して聞いてくる、都の勢いに圧倒される。

「ちゃんと話すから、落ち着いて」

都をそう諭しながら、私も一旦呼吸を整えて、口を開いた。