行動が早いのか遅いのか、本当に分からない。
だけど、部活をするなら一つの部しか頭になかった。
都だってそれを分かっているから、「何部?」とは聞いて来ないのだろう。
ただ、なかなか入部しなかったのは…
「岡田も一緒?」
都の発した、翔の苗字にドキッとする。
甘い胸の高鳴りの“ドキッ”じゃなくて、ズキンと胸が痛む方に近い“ドキッ”。
何も知らない都は、冷やかすようにニヤニヤと笑っている。
「…翔は部活しないんだって」
それでも、これは予想していた質問で、今日はこの事を伝えに来たと言ってもおかしくない。
「え?何で?」
私の答えに、都は一瞬にして表情を曇らせる。
「恋に目覚めたらしいよ」
「はっ!?」
よほど予想外だったのだろう。都の手からは、ハンバーガーがするりと滑り落ちた。
「都、ハンバー…」
「何それ!聞いてないっ!どういう事よ!!」
ハンバーガーの事を指摘しようとしたけど、さっきよりもはるかに乗り出して聞いてくる、都の勢いに圧倒される。
「ちゃんと話すから、落ち着いて」
都をそう諭しながら、私も一旦呼吸を整えて、口を開いた。



