13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


結局、家でモタモタしていたせいで、朝は会うことが出来なかった。昼休みも、苺先輩は学食に行ったらしく会えなかった。

だから放課後…。
いつもと同じ時間よりも少し早く、俺は2年5組へと足を運んだ。


開け放たれたドアから、教室の中を覗くと、自分の席に立っている苺先輩の姿が、すぐに目に入った。

ドクン…ドクン…

大きくなる心臓の音。

朝会わなかったのは、やっぱり間違いだった。時間が過ぎるにつれ、気まずさが増し、緊張する一方だ。
あまりの緊張に、この場から逃げ出したいけど、逃げるとそれこそ会えなくなる。

「……ふー」

俺は大きく深呼吸して、教室へと入った。
そして、苺先輩の元までズカズカと足を進める。

もう勢いで突き進むしかない。

「…苺せんぱーいっ!」

俺が呼ぶと、苺先輩はビクッとして振り向いた。

「一緒に帰ろう!」

本当は緊張して、気持ち悪くなりそうなくらいなのに、精一杯笑顔を作って、出来るだけ今までと同じ様に振る舞う。

対して苺先輩は、顔を真っ赤にさせて俯いている…
かと思えば、一度顔を上げて俺の顔をちらっと確認すると、また下を向いた。

…可愛い。

苺先輩の緊張する姿が愛しくて笑う。

すると、少しずつ緊張が解れていくのを感じていた。

その時、