13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「やべー…」

目覚めたばかりの俺は、ベッドの上で頭を抱える。

「早く支度しないと、学校遅れるんじゃない?」

さっき部屋に入って来た母さんは、相変わらずおっとり口調で言いながら、窓に掛かるカーテンを開けた。

部屋に差し込む日差しが眩しくて、ふいに目を細める。

しっかりと眠ろうとしたはずなのに、実際はほとんど眠れなくて。幾度となく思い出すのは、昨日の自分。

『絶対、彼女にする』

あの時は、感情が高ぶっていて何とも思わなかったけど、冷静になると自らの発言が恥ずかしくてたまらない。

苺先輩にどんな顔して会えばいいんだよ…。

深くため息をついて、片手で髪をくしゃっと掴む。


「母さん…俺、学校行きたくないかもしんない」

憂鬱すぎて、つい漏らしてしまった愚痴。

「…」

それを聞いて、母さんはピタリと固まった。

「…?母さ…」

どうしたのかと逆に聞こうとすると、母さんはすごい剣幕で近付いて来た。

「…っ!!」

思わず頭からベッドへ倒れ込みそうになったのは、母さんが勢い良く俺の額に手を当てたから。

反対の手は自分の額に当てられ、真剣な表情。

…熱を測られている事は一目瞭然だ。