13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


俺に向けられた苺先輩の顔は、すごく悲しそうな顔だった。
下がった眉に、きつく閉じられた口元、目にはうっすらと涙さえ溜まっていた。

それは…告白された事に、困惑するだけの表情ではない。

誰かを想うが故に、苦しんでる顔だった。


分かっていたけど…ツライ。


“そんな顔を俺に向けないで”

そう思う自分自身は今、どんな顔をしているのだろう。

笑っているようで、泣いているような…自分の表情が分からない。


「あのっ」

俺を心配するように、苺先輩がベンチから立ち上がろうとする。

その瞬間、俺は苺先輩の手を掴んで、自分の体に引き寄せた。

「ちょ…翔くんっ!?」

俺の腕の中に捕われた苺先輩は、戸惑いの声を上げる。

「大丈夫…子供帰りましたから」
「翔くんっ!」

違うとばかりに声を荒げる苺先輩。周りの目を気にして、俺の名前を呼んだのではない事くらい分かってる。

だけど、離したくない。