13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


一瞬迷ったけど、“頑張ってね”とは言えなかった。

翔が津田先輩と付き合う事を、望んではいないから。

だけど、私は翔の背中を押していて…

愚かな自分に笑えてくる。


今から翔は津田先輩に告白する。


もし、私の背が低かったら-…。

一瞬考えてしまったけど、すぐにやめた。

“もしも”なんて有り得ない。

私は現実を受け止めるしかない。


みんなに「有り得ない」って言ってたじゃない。

アンバランスな恋だって、分かってたじゃない。

当然の様に翔は“女の子”に恋をしただけよ。

だけど…

胸がチクチクするのは、

ほんの少し期待してたんだ。


高校生になったら-…。



「はぁ…」

泣きたいような、笑いたいような、どっちも混ぜた顔でため息をついて、足を進める。

「……バレー部行ってみよ」

私は教室へと入る。


入れ違いになるように、

翔は教室を出て行った。