「まぁいいや…」
あたしは“デカすぎ”って言葉を流す事にした。
このまま口喧嘩を始めてしまっても、意味がない。
それに何より…
今日くらいは、喧嘩せずに居たかった。
「そういえば…また告られてたんだって?」
翔は一瞬「何で知ってんの?」って顔をしたが、すぐに頷いた。
「振ったけど」
「へー…彼女いるの?」
聞きながら、少しドキドキしてる自分がいる。
「今いないし」
「そっか…」
何て事ない顔をしながら、心の中では微笑む。
翔はモテる。
顔はいわゆるジャ○ーズ系でカッコイイ。
成績は良い方じゃないけど、スポーツ万能だし、性格は明るいし、優しい。
背は低いけど、それさえも“カワイイ”って魅力に変わってる。
だから翔に思いを寄せる女の子はいっぱい居て…
実は私もその中の一人。
でも、私と翔はこの身長差のせいか、顔を合わせると口喧嘩ばっかりだ。
好き…。
そう自分の気持ちを伝えれば、振られてしまうのは目に見えてる。
だから告白しない。



