13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「まぁいいや…」

あたしは“デカすぎ”って言葉を流す事にした。

このまま口喧嘩を始めてしまっても、意味がない。

それに何より…

今日くらいは、喧嘩せずに居たかった。

「そういえば…また告られてたんだって?」
翔は一瞬「何で知ってんの?」って顔をしたが、すぐに頷いた。

「振ったけど」
「へー…彼女いるの?」

聞きながら、少しドキドキしてる自分がいる。

「今いないし」
「そっか…」

何て事ない顔をしながら、心の中では微笑む。

翔はモテる。

顔はいわゆるジャ○ーズ系でカッコイイ。
成績は良い方じゃないけど、スポーツ万能だし、性格は明るいし、優しい。
背は低いけど、それさえも“カワイイ”って魅力に変わってる。

だから翔に思いを寄せる女の子はいっぱい居て…

実は私もその中の一人。


でも、私と翔はこの身長差のせいか、顔を合わせると口喧嘩ばっかりだ。

好き…。

そう自分の気持ちを伝えれば、振られてしまうのは目に見えてる。

だから告白しない。