13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「うるせーな!長身の檜山には分かんねーよっ!」

「…」

私は俯く。

そして、フッと笑った。

「早くしないと!先輩待ってるんでしょ!」

パッと顔を上げて急かす様に、翔の背中を叩く。

「そうだった!やっべー…告る前から、こんなんだったらフラれるし!」

叩いた反動でよろけながらも、翔は教室に戻ろうと急ぐ。

そんな後ろ姿を見ながら、

“長身の佳奈には分からない”

翔の言葉を頭の中で繰り返す。


何なのよ…。

出会って間もない先輩が、翔の何を知ってるのよ…。

ただ、二人とも少し背が低いだけ。

津田先輩が翔を庇ったのなんて、ただの馴れ合いじゃない…。

私の方が翔を、ずっと沢山知ってる。

私の方が…。


「檜山?」

名前を呼ばれてハッと我に返ると、翔が教室に入る一歩前で、こっちを見ていた。

何…?

目が合って、ドキッとする。

「檜山、じゃーなっ!」

翔はニッと笑う。

「…じゃあね」

返事すると、翔は今度こそ教室の中に入って行った。