13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「俺さ…俺…」

何かを言おうとしながら、翔は言葉に詰まる。

覗き込んだ翔の顔は、困った様に眉をしかめて、少しだけ頬を赤らめる。

その姿を見て…私は直感した。

翔は-…。


「…苺先輩に告る」


ズキンッ

たった今、思った通りの事を言われただけ。
それなのに、まるで心臓を切り裂かれるような、鋭い痛みを感じた。

「…へぇ……」

何を言ったらいいのか分からない。
頭が真っ白になる。

そんな私に、翔は無情にも追い打ちをかける。

「今日さ…もう苺先輩しかいないと思った」
「え…?」

「試合の後、ちょっと3年に絡まれて…そん時、苺先輩が庇ってくれたんだ」

あぁ…あの時の事か…。

私もあの場に居たのに、翔は知らない。

「それで…完全に好きになったってわけ?」
「まぁ…前から完全に好きだったけど」

ズキッ

翔の口から出た『好き』って言葉に、また胸を痛めるけど、

「何かそれ、翔が女の子みたい」
「は?」

意外と普通に言葉が出てくる事に、自分で驚く。