「俺さ…俺…」
何かを言おうとしながら、翔は言葉に詰まる。
覗き込んだ翔の顔は、困った様に眉をしかめて、少しだけ頬を赤らめる。
その姿を見て…私は直感した。
翔は-…。
「…苺先輩に告る」
ズキンッ
たった今、思った通りの事を言われただけ。
それなのに、まるで心臓を切り裂かれるような、鋭い痛みを感じた。
「…へぇ……」
何を言ったらいいのか分からない。
頭が真っ白になる。
そんな私に、翔は無情にも追い打ちをかける。
「今日さ…もう苺先輩しかいないと思った」
「え…?」
「試合の後、ちょっと3年に絡まれて…そん時、苺先輩が庇ってくれたんだ」
あぁ…あの時の事か…。
私もあの場に居たのに、翔は知らない。
「それで…完全に好きになったってわけ?」
「まぁ…前から完全に好きだったけど」
ズキッ
翔の口から出た『好き』って言葉に、また胸を痛めるけど、
「何かそれ、翔が女の子みたい」
「は?」
意外と普通に言葉が出てくる事に、自分で驚く。



