13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


「苺先輩ーっ!」

3年生との接戦が終わった後、翔が真っ先に向かったのは、例の小さい先輩の元だった。

私の所に来てくれるなんて想像出来ないし、全くと言っていい程、期待なんかしてなかったけど…

「俺、苺先輩の為に最後決めたんすよっ!」

チクン…

嬉しそうに満面の笑顔で先輩に話す翔の姿は見ていられなくて、背を向けた。

…のに、

「女とイチャついて、いい気になってんじゃねーよ!チビがっ!!」

いきなり聞こえた荒々しい声に、思わず振り返る。
すると、さっきの試合相手の3年生が、翔に突っ掛かっていた。
だけど、翔は何も言わない。

何で…。
翔は悪くないのに。

「ふざけんじゃねーよっ!チビが目障りなんだよっ!」

そう言って3年生は去ろうとしたけど、実力で勝った翔に対するその言葉に、私は我慢ならない。

「ちょっ-…」

「ちっちゃくて何が悪いの?」

私が3年生を呼び止めるより早く、誰かが3年生に刃向かう言葉を吐いた。

それは…

津田 苺先輩。