「どんなチームでも、俺が居たら大丈夫だって!」
「調子に乗るな」
浮かれ気味に話す俺に、檜山は冷静に返した。
でも…
「でもさ…本当にちょっと頑張ろうかな…って思う」
「え?」
「檜山はスポーツ出来る奴カッコイイと思う?」
「まぁ…。もしかして…先輩?」
俺は少し照れながら頷くと、檜山はため息をついた。
「はいはい、そんな不純な理由で頑張らないで下さーい」
「めっちゃ純粋じゃん!」
「…そこ!ちゃんと聞いて下さい!」
俺が大きな声で反論したため、生徒会の先輩に怒られた。
周りに頭を下げる俺を、檜山は声を殺して笑う。
「檜山のせいだろっ!?」
「どこが?」
「…」
結局は自分のせいだと分かっていて、何も言えない。
「……てね」
「?」
檜山が何かを言ったが、聞き逃した。
「頑張ってねって言ったの、バレー」
「あぁ…ありがと!」
無表情で言った檜山に、俺は笑顔で頷いた。
檜山とは喧嘩友達だけど、俺が苺先輩への気持ちを告白した唯一の女子。
いや、喧嘩友達だからこそ、気軽に言えるのかもしれない。
口ではとても言えないけど、話を聞いてくれる檜山の存在に感謝していた。
そして…スポーツ大会当日を迎えた。



