13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「-…と、言うわけで……」

放課後の体育館に、生徒会執行部の人の声がよく響く。

明日はスポーツ大会。
体育館委員の俺は、明日の説明を受けていた。

トントン

プリントを持つ腕に、軽く何かがぶつかる感触。

隣を見ると、檜山が肘を当てて俺を呼んでいた。

「何?」
「本当にさ、あんな適当なチームでいいわけ?」

檜山はプリントを口元にやって、声を隠す様に話す。
言っているのは、出席番号順に決めたスポーツ大会のチーム分けの事だろう。

「別に問題なくね?」
「…ないけど……勿体ない」
「何が?」
「ちゃんと決めたら、結構良い線行くと思うんだけど」

スポーツ大会の種目はバレーボール。
俺はふざける様にニッと笑った。

「何?俺の実力やっと認めた?」
「実力だけは前から認めてるよ」

…。

予想外の返事に驚いて、

「…頭でも打ったか?」

心配すると、

「打ってない」

即答された。

いつも喧嘩腰な檜山の口から“認めてる”って言葉を聞くとは思ってもみなかった。

でも、同じバレー部だった檜山に言われるのは嫌な気はしなくて、単純な俺は少し嬉しく思う。