「まぁ、何かあったらいつでも言ってください」
苺先輩から無理矢理泣いた理由を聞く事は出来なくて、それくらいしか言葉が見つからない。
「じゃあ俺急がねぇと…」
「うん…」
苺先輩の髪は柔らかく、さらさらしていて、出来れば離したくないけど、もう休憩時間は終わる。
「また放課後来ますから!」
そう残して、俺は教室へと戻った。
苺先輩の涙の理由は、
やっぱり“西藤先輩”なのだろうか…。
初恋に浮かれモードだった俺は、好きな人に好きな人が居ること、全く考えていなかった。
間先輩と同じで、苺先輩が誰を好きでも諦めるつもりはない。
だけど、突然浮上した“西藤先輩”の存在に、
不安を抱かずにはいられなかった。
溶けるような水色の空に
雲が掛かりはじめた-…。



