13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「まぁ、何かあったらいつでも言ってください」

苺先輩から無理矢理泣いた理由を聞く事は出来なくて、それくらいしか言葉が見つからない。

「じゃあ俺急がねぇと…」
「うん…」

苺先輩の髪は柔らかく、さらさらしていて、出来れば離したくないけど、もう休憩時間は終わる。

「また放課後来ますから!」

そう残して、俺は教室へと戻った。



苺先輩の涙の理由は、

やっぱり“西藤先輩”なのだろうか…。


初恋に浮かれモードだった俺は、好きな人に好きな人が居ること、全く考えていなかった。


間先輩と同じで、苺先輩が誰を好きでも諦めるつもりはない。


だけど、突然浮上した“西藤先輩”の存在に、

不安を抱かずにはいられなかった。



溶けるような水色の空に

雲が掛かりはじめた-…。