言うつもりなんてなかった。
だけど、ここで黙っていたら、私はもっともっと子供になってしまうから、
「翔が津田先輩のこと……一番幸せになって欲しい人だって……言ったから」
素直な理由を打ち明けた。
私がドレスを着ていて、翔がスーツを着ているのは、今日が津田先輩の結婚式だったから。
憧れの先輩達の結婚を、もちろん祝福している。
だけど……披露宴での翔のスピーチを聞いてから、私の心は壊れそうだった。
『苺先輩は、俺の一番幸せになって欲しい人です』
はっきりと、そう言った翔。
周りが感動の涙を浮かべる中……私だけは、違う意味の涙を浮かべていた。
思い出したら、また胸が苦しい。
翔は何て言い訳をするんだろう……。
少し不安になりながら、背中に神経を集中させる……と、
「何だ。そんなこと気にしてたんだ?」
あろうことか翔の返事は、またもや軽いトーンで、私は目を丸くする。
そんなこと……?
「そんなことって……何よそれっ!」
我慢していた涙が、堪えきれず浮かび上がって、とうとう私の目から零れ落ちた。



