13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



「……お前、何言ってんの?」


私の耳に届いた翔の声は、本当にただ疑問をぶつけただけの、軽すぎる声だった。

「なっ、何って……」

意外すぎる反応に、私は思わず振り返ろうとする。

だけど、それは叶わない。


私の体に回された腕。
それは、私を後ろに引き寄せて……

手のひらから、桜の花びらが滑り落ちた――。


私を包むのは、嗅ぎ慣れた香水の甘い香りと、温かなぬくもり。

「今日結婚した人と付き合えって、無茶言いすぎ」

背中から私を抱き締めた翔は、苦笑しながら言った。

「っ……」

何で……。

どうして笑っていられるのか、分からない。

昔だったら絶対に、口喧嘩になっていたはずなのに……。


「なぁ……怒ってる理由、ちゃんと聞かせて?」

翔の声色はどこまでも優しくて、泣きそうになる。

いつの間にこの人は、こんなに大人になったんだろう……。

ずっと見てきたはずなのに、分からなくて。
それに対して自分は子供すぎて。

置いていかれているような気がして、本当に悔しい……。