13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


逃げられるわけないのに、
逃げるものなんてないのに、

どうしようもなく逃げたくて、私は足を止めようとはしない。


でも、一体どこへ行くっていうの……?

顔を上げた時だった。



涙で滲んだ世界。

その中心に何かが、空中を舞うようにゆっくりと、時間をかけて落ちて来た。


ピンク色の……妖精――?


反射的に手を伸ばして、止まる足。

掴めるなんて思わなかったけど、それは私の手の中に収まった。

恐る恐る手を開く私と、

「佳奈っ!」

私を呼ぶ翔の声が合わさった。


……何で。

ピンク色の妖精。
その正体を確かめた私の手は、微かに震える。

「もう、いきなり何なんだよっ」

翔の声はすぐ近くに聞こえて、振り向かなくても追い付かれたことは分かった。

だけど、逃げられない。
動けない。

私を引き止めるのは……ピンク色の妖精。


それは、桜の花びら――。