慣れないヒールのせいで、走りにくい。
こけないようにと足元を見て、私の目に入ったのは……
自分が着ている、黒いドレスの裾だった。
「っ……」
こんなおめでたい日に、何やってるんだろう。
最悪すぎる……。
自分の弱さ、情けなさに込み上げる涙。
泣いたらメイクが崩れちゃうから、必死に我慢するけど、
喉が痛い。
足が痛い。
心が……痛い。
頭の中でぐるぐる回る、翔の言葉。
本当は、翔がそんなつもりで言ったわけじゃないことくらい、分かってる。
こんな風にしか考えられない自分が、あまのじゃくなんだって分かってる。
それでも……やっぱり嫌だった。
やっぱりまだ、あの人のことが好きなんじゃないかって、不安になった。
やっぱり私は……今も片想い。
そんな風にすら、思えてきて。
本当におかしい。
おかしすぎるよね。
もうあれから6年も過ぎたのに、まだこんな気持ちを抱えているなんて――。



