「佳奈、かーなっ!」
背中から聞こえる、私を呼ぶ彼の声。
私はそれを無視して、ツカツカと早足で歩いていく。
追い付かれたくない。
その一心で、ひたすら足を進めるけど、
「こらっ、シカトすんなって!」
彼は駆け足で私を追い越して、目の前に立ちはだかった。
スーツ姿で、両手に白い紙袋を一つずつ持った彼は……翔。
「……どいてよ」
キッと睨み付けて、低い声で言うと、
「何そんなに怒ってんの?」
翔は全く分からないとばかりに、首を傾げた。
「本当に分からないの?」
「うん」
「……」
迷うことなく頷いた翔に、私の怒りは最高潮になる。
もう……最低っ!
「翔のバカっ!!」
私は力任せに一言怒鳴って、翔を置いて走り出した。



