13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


藤原先輩と付き合ってしまった自分に、罪悪感を感じながら、
本当に嫉妬してくれてたんだと、胸がキュンとなる。

でも、そんな気持ちに浸ったのも束の間。

「じゃあさ、キスくらいはしちゃった?」

「な……っ!」

再び投げられた、とんでもない質問に、私は顔を真っ赤にした。

「そんなことっ、どうでもいいでしょっ!?」

「あー……その反応、やっぱりしたんだ」

あからさまに下がる、翔の声のトーン。

絶対……からかって遊んでるっ!!

そう確信した私は、

「翔なんかっ……」

“翔なんか知らない”そう言って、逃げようとした……のに。


金縛りに遭ったように、硬直して動かない体。

頭の中は真っ白になって、今自分に何が起こっているのかも、考えられない。

大きく開いた目から見えるのは、閉じられた誰かの瞼。

感じるのは、誰かが腕を掴んでいる感触と、


唇に重なる、柔らかくて温かい感触――。


“誰か”が誰かなんて、それはもうひとりしかいないわけで。

で、私はその人と……何してんの?


「……」

私が答えを見付けるよりも早く、唇の感触は遠ざかった。