13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


でも、都は私の驚きなんか無視して話を続ける。

「告白してきなよ、卒業式なんて絶好のチャンスじゃん」

体をくっつけて、都は後輩達に聞こえないように話す。

「でもね…」

横目で後輩を見ると、二人は二人で何かを話していて、こっちを気にしていない。

「佳奈なら上手くいくと思うよ」

にっこりと笑う都。

上手くいくって…その自信はどこから来るのだろう。

「…分かったよ」

あたしは小さくため息を漏らして、両手を上げた。

「探してくるから」

とりあえず、私が探しに行けば良いだけの話。

「本当っ!?」

目を輝かせて何かを期待する都に、「告らないけどね」と付け加えて、私は歩き出した。


どうせ直ぐに見つかるでしょ…。


そう思っていたけど、顔をキョロキョロと振りながら歩いていても、姿は見当たらない。

「ね、翔知らない?」

このまま探していても見付からないと思った私は、男子に聞いてみた。

「翔?あー…さっき女の子に呼ばれて体育館裏に行ったよ」
「そっか、ありがと」

“女の子に呼ばれた”そう聞いたけど、あたしの足は躊躇いなく体育館の方へと向かう。