でも、都は私の驚きなんか無視して話を続ける。
「告白してきなよ、卒業式なんて絶好のチャンスじゃん」
体をくっつけて、都は後輩達に聞こえないように話す。
「でもね…」
横目で後輩を見ると、二人は二人で何かを話していて、こっちを気にしていない。
「佳奈なら上手くいくと思うよ」
にっこりと笑う都。
上手くいくって…その自信はどこから来るのだろう。
「…分かったよ」
あたしは小さくため息を漏らして、両手を上げた。
「探してくるから」
とりあえず、私が探しに行けば良いだけの話。
「本当っ!?」
目を輝かせて何かを期待する都に、「告らないけどね」と付け加えて、私は歩き出した。
どうせ直ぐに見つかるでしょ…。
そう思っていたけど、顔をキョロキョロと振りながら歩いていても、姿は見当たらない。
「ね、翔知らない?」
このまま探していても見付からないと思った私は、男子に聞いてみた。
「翔?あー…さっき女の子に呼ばれて体育館裏に行ったよ」
「そっか、ありがと」
“女の子に呼ばれた”そう聞いたけど、あたしの足は躊躇いなく体育館の方へと向かう。



