「あのさ……ちょっと聞きたいことあるんだけど」
私の感情が落ち着いた頃。
翔は見計らっていたかのようなタイミングで、口を開いた。
「何で苺先輩のボタン貰ったわけ?」
「え……」
「いや、佳奈と苺先輩って、特に接点なかったじゃん。なのに、何でかなーって思って」
「あぁ……」
言われて思い出したように、そっと片手を開いてみる。
すると現れたのは、さっき貰った津田先輩のボタン。
無意識のうちに、かなり強く握ってしまっていたみたいで、手の平にはボタンの跡が軽く残っている。
「私も……貰うつもりなんて、なかったんだけど……」
翔が「ください」と言っているのを聞いた時、嫌だと嫉妬する気持ちは、もちろんあった。
でも、それよりも前に出たのは……「私も欲しい」という気持ち。
私は津田先輩のことが、苦手だった。
きつい言い方をすれば、嫌いだった。
津田先輩は小さくて、可愛くて、女の子らしくて……優しいから。
だけどそれは、
「憧れ……だったのかな……」
嫌いだと思ったところは全て、私にないもの、欲しかったものだった。



