13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「……私に……なの? 津田先輩じゃなくて……?」

「は? 何で苺先輩になんだよ」

目に映る桜の花が、じわじわとぼやけてく。

「……あ、もしかして忘れた?」

耳に入った翔の声に、私はハッとして、ぶんぶんと首を振った。

「忘れてないっ……」

私が忘れるわけなんかない。

中学の卒業式の日、 翔が一番早く咲いた桜を、私に教えてくれたこと――。

でも、そんなの覚えてるの、私だけだと思ってた。

だって、あの時の私達の関係は特別なものじゃなかったし、特別な言葉なんてひとつも交わさなかったから。

「佳奈、花とか興味なさそうだもんな!」

あの時と同じ言葉で、翔は私をからかって笑う。
言い返したいのに、言葉は声にならなかった。

よそ見ばっかして、私を見てくれない……そう拗ねていたけど、本当は私のことを真っ直ぐに見てくれていたんだ……。

それがとても嬉しくて、私は視界を滲ませたまま、微笑んだ。