13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「あっ、えと……翔!?」

――怒らせた。

そう思った私は、慌てて翔の後を追う。

翔はやっぱり、上を見上げて歩いていて。

「あの……っ」

「てか俺、苺先輩に会おうとして会ったわけじゃないし」

……え?

ごめんって、謝るつもりだったのに……翔の言葉が邪魔をした。

「俺が探してたのは、お前。そしたら、たまたま苺先輩に会っただけ」

足を止めて、振り返って私を見て、呆れたように言われた言葉。

私を……探してた?

「何で……」

目を丸くして聞く私に、

「見せたいものがあったから」

翔はムスッとした顔を、フッと笑顔に変えて言った。

「見せたいもの……?」

それは何かと問う前に、翔は人差し指を一本立てる。

その瞬間、“見せたいもの”の正体が何なのか、頭の中に浮かんだ。

そのまま翔は上を見上げて、私も追うように見上げる。

「……」

やっぱりそうだ。
思った通り。

翔が指差した先にあったのは、

茶色の枝に付いた、ひとまとまりの蕾。
その中のひとつが、淡いピンク色を覗かせている。

そう……それは、桜の花――。