13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「何ため息ついて、むくれてんの?」
「えっ……」

パッと前を向くと、上ばかり見ていたはずの翔の目が、私を見ていた。

ため息……?

どうやら、自分でも無意識のうちに、ため息なんかをついていたらしい。

自己嫌悪に陥っていたから、それは素直に認められる。

だけど、

「む、むくれてなんかないしっ!」
「ほら、むくれてんじゃん」
「ーっ!」

翔の指摘は正しくて、私は思わず口ごもる。

言い返したいけど、私を見てくれないから……なんて、絶対に言えない。

「翔がっ……どこにいるかと思えば、津田先輩と会ってデレデレしてたからでしょっ!」

――本音とは違う。

今日は卒業式だから、翔が津田先輩と会っていたのは、当然と言えば当然のこと。
もちろん、怒ってなんかいない。

でも、とにかく翔を責めたくて、口走ってしまっていた。

「何だよその言い方……」

口をへの字にする翔。

「別にデレデレなんか、してねぇし」

繋いだ手をするりと離して、私に背中を向けた。

一歩、二歩と距離が開く。