「卒業しても頑張って下さい」
「……はい」
「俺はずっと、苺先輩を応援してるから」
情けなくも、俺の声は震えてしまっていた。
冷静を装って、無難な別れの言葉を口にしているけど、本当は寂しいって思っていた。
俺が2年生になってからは、話す機会もほとんどなかったし、苺先輩への気持ちは……もう恋じゃない。
それでも、これから会うことはないのかもしれないと思うと、堪らなく寂しく思えて……。
そんな気持ちが、きっと顔に出ていたんだと思う。
「ありがとう」
微笑んだ苺先輩は、俺を慰めるような優しい顔をしていた。
そして、あることを俺に伝えてくれているような……そんな表情だった。
言葉にしなくても分かる。
そっか……違う。
違うよね、苺先輩。
ポッと明かりが灯るみたいに、温かくなる気持ち。
俺も自然と微笑んで、ゆっくり頷いた後、佳奈の方に体を向けた。
「……っ!?」
佳奈が驚いた顔をしたのは、俺が手を握ったから。
そのまま、顔だけを苺先輩に向ける。
「先輩、じゃあまた!」
「またね!」
満足そうに微笑んだ苺先輩。
俺もニッと笑って、佳奈の手を引いて走り出した。



