13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「取れた……」

俺がそんなことを考えている間に、ボタンは取れたみたいで、佳奈は立ち上がった。

身長の高い佳奈と、身長の低い苺先輩。
露になったその差に、改めてふたりの違いを感じる。

「はい」

くるりと俺に向き直った佳奈は、俺の手にボタンをひとつ乗せた。

校章の入った、ずしりと重いブレザーのボタン。

「苺先輩、ありがとう!」
「ありがとうございます」
「いえいえっ!」

立て続けにお礼を言われて、笑顔で返事する苺先輩のブレザーは、ボタンを2つ無くしたせいで、少しだらしなく開いていた。

「あ、本当にそろそろ行かなくちゃ……」

腕時計を見ながら言う佳奈。

「分かったよ」と、短く返事して、俺はまた苺先輩に体を向ける。

すると、苺先輩も俺を真っ直ぐに見上げて、微笑んだ。

「……っ」

もう、これが最後。

そう思うと、胸の奥から熱くなって……喉に言葉が詰まる。

でも、

「苺先輩、本当にありがとうございました。俺、先輩に出逢えて本当に良かった」

改めて言わなくても分かることでも、改めて言わなきゃならなかった。