そこにすかさず、「どうもすみません」と、佳奈が頭を下げて、
「いえいえ」と、苺先輩も下げ返す。
何だかもう、紹介するに出来ない雰囲気。
でも、まぁいっか……と思ったのは、俺と佳奈の関係に苺先輩が気付いている気がしたから。
「あ!苺先輩、ボタンちょうだい!」
ふと思い出してかけた言葉に、苺先輩は「えっ!?」と、声に出して驚く。
だけど、続けて聞こえた言葉には、俺も驚いた。
「私も下さい」
「え……?」
言ったのは他でもない、佳奈。
「ダメですか?」
「いや……そんなことないですよ!」
そう否定しつつも、さすがにこれには苺先輩も驚いた様子。
一方の佳奈は何ともない顔をして、
「じゃあ、失礼します」
しゃがんで、苺先輩のボタンに手をかけた。
前に好きだった人と、今好きな人。
ふたりが向かい合っている光景を見ていると、とても不思議な気持ちになった。
初恋の記念に……俺は苺先輩のボタンが欲しかった。
でも、佳奈が苺先輩のボタンを欲しがる理由は分からない。
ふたりに接点は全くなく……っていうか、今日初めて顔を合わせたんじゃないだろうか。



