13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「ったく、どこ行ったんだよ……」

辺りをキョロキョロ、見渡しながら歩く。

目につくのは嬉しそうに騒ぐ3年生ばかりで、探している人は見当たらない。

せっかく教えてやろうと思ったのに……。

小さく肩を落とした時だった。

「……あ」

不意に目に入った、数人の女子。
見覚えのある、恐らく同じ2年の女子達が、とある先輩を取り囲んでいた。

その先輩は女子なのだけど、「ボタン下さい!」などという黄色い声を浴びせられてる。

そんな光景に苦笑して、俺は少し視線をずらした。

すると目に映るのは、俺より近い位置で、 やっぱり苦笑しながらその光景を見ている……小さな女の子。


苺先輩――。


心の中で名前を呼んだ瞬間。
トクン……と、懐かしく胸が鳴った。


2年生に囲まれているのは中野先輩で、取り巻きはきっとバスケ部の後輩達だろう。

姉御肌で面倒見の良い先輩は、文字通り後輩に好かれていたから。

中野先輩は、そんな騒ぐ女子達を一瞬にして宥めて、苺先輩に何かを告げると、後輩達を引き連れて歩いて行った。