13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


私はその手にそっと触れて、

「次は亜耶の番だよ」

先輩には聞こえない小さな声で、囁いた。

亜耶はそれこそ、恨めしそうな目で私をじっと見るけど、

「……分かった」

やっと笑顔を浮かべ、片足をゆっくりと自ら前へ出した。

一歩、二歩下がって……私と同じ位置に立つ。

「頑張れ」と、亜耶の背中を優しく押して、私はすれ違うように階段を登った。


言いたいこと……全て言うのは難しいと思う。

でも、ひとつでも多く亜耶の想いが伝えられますように。
少しでも多く、亜耶の気持ちが伝わりますように。


「卒業おめでとうございます」

亜耶の振り絞った小さな声が、私の耳にも届いた。



藤原先輩に渡したチョコレート。

ラッピング袋も、中身も、亜耶と全く一緒。

でも……きっと違う味がする。

私と亜耶では、込めた気持ちが違うから――。


どっちが美味しいですか……?

なんて、野暮な質問だけど、

心を打たれるのは、亜耶の方だと思った。

恋する気持ちは……無敵だから。


頑張る亜耶の姿を見ていたら、私も無性に会いたくなった。

私の恋する相手に――。