私が1年生の時のクリスマス。
藤原先輩はプレゼントを用意してくれていたのに、私は何も用意していなかった。
後日用意すると慌てて言った私に、先輩が欲しいと言ったもの。
それが……バレンタインの手作りチョコだった。
あの時は、そんなの普通に渡せると思っていたけど、翔への気持ちを抑えられなかった私は、先輩を裏切ってしまって……。
結果、渡せなかったことを、とてもとても後悔していた。
「遅くなってしまってごめんなさい……」
頭を下げて謝ると、先輩は小さく首を振って、
「すごく嬉しい。ありがとう」
と、微笑んだ。
その笑顔に、また胸が苦しくなる。
だって、“嬉しい”とか“ありがとう”とか、言われる程のものじゃない。
「私、先藤原輩に沢山のものを貰ったのに、これくらいしか出来なくて……」
思ったことを素直に口に出すと、申し訳なく思う気持ちが増す。
だけど、
「そんなことないよ。俺も佳奈ちゃんに出逢って、沢山のものを貰ったよ。だからすごく感謝してる」
先輩は変わらぬ笑顔で言ってくれた。



