13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


檜山、ごめんっ!

心の中で謝って、苦笑しながら小走りで急ぐ。


“走って来なくていいよ”

そう言われたにも関わらず、走ってしまうのは嬉しいからだ。

合宿から戻って来て、やっぱり俺と苺先輩の距離は、縮んでる気がしてた。

登下校は前からだけど、最近では昼休みも一緒に居るのを、受け入れてくれてる。

まるで付き合ってるみたいに、順調に仲良くなっていて、“初恋”が楽しくて仕方ない。

だから、檜山には悪いけどチーム分けなんかどうでも良くて、早く苺先輩に会いたかった。



「失礼しますっ!」

あれ…?

いつもの様に軽く挨拶をして教室に入ったものの、苺先輩の姿はない。

他の先輩達は居るから、移動教室だった訳でもないだろう。

どこ行ったんだろう…。

弁当を持ったまま、立ち尽くしていると、

「翔くん…だっけぇ?」

聞き慣れない声がして振り返る。

声をかけて来たのは内巻きに巻いた髪が印象的な、今まで話した事のない先輩。

「苺ちん、さっき教室出てったよぉ?」
「そうなんですか…」
「うん。一緒に待とう」

そう言って、その先輩は苺先輩の席に、空いている椅子を2つ寄せた。