その日は、風こそまだ冷たいものの、青空に浮かんだ太陽からは暖かい日差しが感じられて……“小春日和”そう呼ぶに相応しい日となった。
卒業式を終え、最後のHRも終え、学校の至る場所で写真を撮ったり、思い出話に花を咲かせる先輩達。
そんな光景を見ても、去年は何とも思わなかったのに、今年はちょっと違う。
開放的な笑顔や、大切な人や時間を思っての涙が、羨ましく感じた。
そして……先輩達がいなくなってしまうことを“寂しい”と、確かに感じていた。
「ね、佳奈ちゃん……あたしやっぱり怖い」
後ろを歩いていた亜耶が、ブレザーの裾を掴んで、私の足を止めさせた。
振り返って見れば、亜耶は困った表情を浮かべていて、何とも女の子らしくて可愛らしい。
恋愛に対して実は鋭い亜耶だけど、藤原先輩と自分のことになると、てんでダメ。
「大丈夫!会っちゃえば何とでもなるから」
本当は……私だって怖い。
あの夏祭りの日から、会っていないから。
だけど、私まで不安な様子を見せたら、それこそ会いに行けなくなってしまうから、わざと明るく振る舞った。



