藤原先輩のために、私と先輩がくっつくことを望んでいた亜耶。
だけど、私と翔が付き合い始めた今、そう望む気持ちはなくなったはずで。
亜耶の素直な気持ちが膨らむのは……当然のこと。
「約束してたんだ。手作りチョコあげるって」
「……そう」
聞いてきたのは亜耶なのに、深く詮索しようとはしない。
その気持ち、私には分かる。
気になるけど、聞くのが怖い……きっとそう。
私は亜耶に気付かれないように小さく笑って、雑貨屋さんで買ってきたラッピング袋を取り出した。
そして、
「はい」
「え……?」
一枚それを差し出すと、亜耶は「何?」と言わんばかりの顔をした。
「亜耶もあげよ?バレンタイン、あげてないんでしょ?」
「え、いいよっ!あたしはいいよ!」
「そんなこと言って……本当にいいの?もう明日しか会えないかもしれないんだよ?」
「……」
私から目を逸らして、黙り込む亜耶。
「私、亜耶には後悔して欲しくない」
今日のチョコ作りに亜耶を誘った、もうひとつの理由。
それは……これだった。



