13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「あー…後からでっ!」

そう言って俺は逃げようとした…けど、

「翔っ!」

檜山は俺の肩をしっかり持って止める。

見上げる檜山の顔は…怖い。

「女子はこっちが決めるから、男子は翔がちゃんと決めてよね!」
「…分かったよ」

檜山は責任感が強いから、決めるまで離してくれないだろう。

しょうがない…。

俺は一呼吸置いて、

「男子注目ー!!」

出来る限り大きな声で叫んだ。
すると、男子はともかく女子も…クラス全員がこっちを見る。
それでも、俺は遠慮なく続ける。

「スポーツ大会のチーム分け、出席番号順でいいー?」

「ちょ…ちょっと!」

隣で檜山が焦った声を出したが、男子達から帰って来た返事は、

「別にいいけどー」
「了解」
等という、承諾する物だった。

まだ入学して間もないし、何の賞品もないスポーツ大会に熱くなる理由もない。
女子みたいに仲良しグループがあるわけでもないから、みんなチームなんてどうでも良いに違いなかった。

「そう言う事で決まったから」

俺は勝ち誇った様に、ニッと檜山に向かって笑って見せ、何か言われる前にと急いで教室を出た。