13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「隣……来たら?」

手を繋いでいるのに、檜山は一歩後ろを歩いていて。

俺が言うと、「あ、うん」と頷いて、一歩ぶん体を前に出した。


やっと並んだ、俺と檜山。


「翔って本当に、字汚いよね。もうちょっと綺麗に書いてくれなきゃ、読めないと思うんだけど」
「うっせーな」

会話は普通。
今までと何も変わらない。

だけど、数十分前とは関係が違うことを、繋いだ手の温もりと、いつもより騒がしい胸の鼓動が教えてくれていた。


檜山に告白して……そして今、恋人同士。

改めて考えてみるとそれは、とても不思議な感じがする。

一年前の今頃は、まさかこんなことになるなんて思ってもみなかった。



「檜山の家って、こっちだったっけ?」

二手に別れた道。
中学の時の記憶を頼りに、片方の道に進もうとした時だった。

「嫌」

繋いだ手が、いきなりぐんと重くなる。

「え……。檜山の家、あっち?」

聞くと、檜山は首を小さく横に振った。

「じゃあ、嫌って何?」
「……」

目を逸らして、少し気まずそうな顔をする檜山。