そして、
「俺、こんなチビだけどさ……絶対追い付くから。檜山の身長なんか、すぐに追い越してみせるから。だから……
俺と付き合ってくれませんか?」
夢にまで見た状況、ずっと欲しかった言葉が……目の前にあった。
――ずるい。
そんな風に言われたら、私の返事はひとつしかなくなる。
元はと言えば、翔の言葉のせいで身長差を気にしていたのに……あの日のことはすっかり忘れてしまった様子で、本当にずるい。
でも、過去のことを掘り返してまで、これ以上身長のことを責める気はしなかった。
だって……翔の考えの変化は、信じられるって思ったから。
いつの間にこんなに大人になっていたんだろう……。
ずっと見てきたのに、気付かなかった。
翔は小さくなんかない。
私よりもずっとずっと大きい。
「……檜山?」
黙り込んでしまった私に、返事を急かすみたいに翔が声をかける。
“付き合ってくれませんか?”
そのお願いに対する、私の返事は――
「しょ……しょうがないなっ」
涙でぐちゃぐちゃな顔のくせに、わざと強がった。
“もう大丈夫”そう伝えたくて……。



