そして、私の手首を掴んだ手をゆっくりと離して……滑らすように私の手の平をギュッと握った。
冷たい手と手。
間には、絵馬の紐。
繋いだ手とは対照的に、体は一瞬にして熱くなる。
「じゃあ、成立ってことで」
「えっ……」
翔はニッと軽く笑うと、私の手を引いて歩き出した。
成立……って、私と翔が付き合うっていうこと?
“恋人”ってこと……?
「っ……」
どうしよう、嬉しい。
嬉しくて嬉しくて、涙が溢れる。
だけど――。
「……待って」
私が足を止めると、繋いだ手がピンと伸びた。
「私の背が高いの……気になんないのっ……?」
嬉しさでいっぱいの中に、浮かぶ不安。
このひとつの不安が、翔の手を握り返す勇気を与えてくれない。
泣きじゃくりながら俯く私に、ため息にも似た翔の「ふう」っという息が聞こえた。
「何度も言ってるけど……俺は気になんないよ」
さっきとはまるで違う、優しい声色。
「檜山は気になんの? こうして歩いてる今も、気になってる?」
「……」
返された質問に、私は涙を抑えて少し考える。



